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ロシアのクリスマス

今年は日露首脳会談が山口県で開かれたことで、ロシアへの注目度が高くなっている時期かと感じています。ちょうどクリスマスを迎えていることもあり、この機会にロシアのクリスマスについて簡単に紹介したいと思います。

・ロシアは12月25日ではない。

 皆さんご存知でしたか。ロシアのクリスマスは12月25日ではありません。1月7日です。私達が普段から従っているのはグレオレオ暦ですが、ロシア正教会ではユリウス暦を導入しているため、約2週間ずれが生じます。

・降誕祭としてのクリスマス

 キリスト教では12の大祭というイエス・キリストに関係した神聖な宗教行事があります。クリスマスはこの12の大祭日の初めの一つで、降誕祭と呼ばれています。

下記はロシア正教における12の大祭日。

  1. 降誕祭( 1/7 )

クリスマスにあたり、キリストの誕生を祝う日

2.神現祭(1/19 )

イエスの洗礼と、イエスが初めて神の言葉を聞いたことを祝う

3.迎接祭( 2/15 )

新約聖書の一つである福音書において、キリストが生神女マリヤとヨセフによって神殿に連れて来られた際の出来事を祝う。

4. 生神女福音祭( 4/7 )

  天使ガブリエルが聖母マリアにキリストの誕生を伝えた日。

  農村では聖母マリアによって収穫が増えることを祈る。

5.聖枝祭 (移動祭日)

  キリストのエルサレム到着を記念する日。

6.昇天祭 (移動祭日)

  復活したキリストが昇天した日。

7.五旬祭 (三位一体祭)

  キリスト復活から50日後に、聖神が11人の使徒に降ったという伝説を記念する日。

農村では春の農作業の終わりである。

8.顕栄祭( 8/19 )

イエスキリストが山上において、旧約の預言者たちと言葉を交わした出来事を記念する

日。

9.生神女就寝祭( 8/28)

 聖母マリアが永眠した日。

10. 生神女誕生祭( 9/21 )

11. 十字架挙栄祭( 9/27 )

  コンスタンチヌス大帝の母が、キリストが掛けられた十字架を発見した日。

12.生神女進堂祭( 12 /4 )

  幼い聖母マリアがエルサレムの聖堂に奉献されたことを記念する日。

 この12の大祭の他にも復活祭というのも存在し、ロシア正教では12の大祭日よりも復活祭の方が重要度は高いです。降誕祭はそれにつづく重要行事となります。

・クリスマスの過ごし方

個人、家庭、地域によってクリスマスの過ごし方、祝いかたは大きく異なります。言うまでもありませんがロシアは広いです。そのため、他宗教との習慣の混合によって同じ宗教行事でもばらつきがあるのです。

一般的に熱心な信者は教会へ行って、一晩中お祈りを捧げたり、讃美歌を歌ったりします。そうでない人は、家で少し豪勢な食事をとることもあるようですが、特に特別なことは何もしません。ただ、大都市の中心部ではクリスマス期間から翌年の1月ぐらいまで、イルミネーションや飾りつけが施されます。

・ロシアのサンタさん

 ロシアのクリスマスにはサンタクロースは出てきませんが、ジェット・マロース(Дед-Мороз)という姿形がサンタクロースに似た架空の老人が、サンタクロースに該当するとされます。マロース(мороз)はロシア語で「寒波」、「吹雪」の意味。また、ジェット・マロースにはスネグーラチカ(Снегурочка)という孫娘がいて、この二人はコンビとしてロシアのクリスマスから年始にかけて、欠かせないキャラクターとなります。

その時期になるとイルミネーションやツリーに、この二人に関連した飾りつけが多くなり、土産屋にも人形やキーホルダーなどが並びます。民話やオペラにも登場します。

・クリスマスというより新年か

 クリスマスよりも、新年を迎える大晦日の方がずっと盛大に祝われます。友達や家族で集まった賑やかなパーティが開かれたり、花火も打ち上げられたり、年が変わった直後に、プーチン大統領による新年演説も行われます。

 ロシアのクリスマスをみてみようと思ったら、年末に渡航して1月7日を待った方が、一番楽しめそうですね。

参考資料

坂本市郎 (1997) 『ロシア 雑学』 新読書読

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