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廣瀬徹也さんを囲む会を行いました
 

3月7日、都内のトルコ料理店にて、日露学生会議の顧問であり、アジア・太平洋国会議員連合(APPU)中央事務局の事務総長を務められている廣瀬徹也さんをお招きして、懇親会を行ないました。外務省時代に語学研修生として研修・勤務され、執筆も行なわれたトルコの話から、現代の日本が抱える問題まで、さまざまなお話をしていただきました。

 

-トルコ語の語学研修生として外務省へ入省されたそうですが、トルコについてお聞かせください。

 

廣瀬さん; 学生のうちに旅行に行くなら、絶対にトルコがオススメですね。何よりご飯が美味しい。世界三大料理の一つですからね。王朝文化が発達したところでは、料理の文化も発達しやすい。そして美しく変化に富んだ自然、加えて、トルコは重層的な文化を持っています。古代のヒッタイト文明、ヘレニズム文明、ビザンチン帝国のキリスト教文明、オスマン帝国のイスラーム文明、それらを融合したトルコ共和国の現代文化など、様々な民族・文明がこの地で栄えてきました。有史以来基本的に仏教文化が続いてきた日本とは対照的ですね。

 

-一方で、トルコは親日の国であるとよく聞くのですが。

 

廣瀬さん; 3年前トルコにおける世論調査では、トルコにとって最も重要なパートナーとして、「イスラーム諸国」についで「日本」があげられています。トルコが世界でも有数の親日国であることにはいくつかの理由があります。同じアジア人としての親近感、双方とも民族の伝統を守りつつ近代化を達成したことへの共感、日本の高い科学技術への信頼があります。

 

 歴史上のエピソードを紹介しますと、まず一つめが、19世紀末の軍艦エルトゥールル号遭難事件。オスマン帝国のスルタンから明治天皇への親書を渡しに日本まできた使節団をのせた軍艦エルトゥールルが、本国へ戻る途中、和歌山県串本町沖で台風に遭遇して難破、使節団と乗組員の大半は殉職しましたが、このとき串本町の漁民は献身的な救助活動を行い、69名が救助されました。この事件は今でもトルコの小学校の教科書にも出ています。遭難現場である大島樫野岬には記念塔が建てられ、毎年慰霊の式典が行われていますが、わたしの知人のトルコ人はたまたま訪れた日に雨降る中で地元の小学生が清掃しているのを見て涙をとめることができなかったと語っていました。

 

 次いで日露戦争での日本の勝利。歴史的に、トルコとロシアは何度も戦争を行なっており、トルコ自身、ロシアの脅威というものをよく理解しています。極東の小さな国がその大国ロシアに立ち向かったという話には、大きな関心を寄せられることとなりました。当時トルコで日本式の名を付けるのが流行ったそうで、アンカラには「トーゴー靴店」があります。

 

 三つめは、ムスタファ・ケマル(アタテュルク)が行った近代化政策は、日本の明治維新も参考にして実行されたこと。1920年代古都ブルサに合弁の「日土織物会社」ができました。

 

 日本がトルコに助けられたこともあります。1985年イラク・イラン戦争の中、テヘランで孤立した邦人を救出するために救援機を派遣してくれたのはトルコでした。

 

 両国とも地震国なので相手国が地震の時は救援隊を派遣するなどかんみんあげて防災面でも積極的に協力しています。

 

-外務省での経験をお聞かせください。

 

廣瀬さん; もともと海外に行きたいという強い思いがあり、外交官になりました。特定の地域に関する専門性を活かせることも、魅力の一つでしたね。外務省では語学研修生から駐アゼルバイジャン大使まで、本当に様々な経験をすることができました。思い出に残る仕事がいくつもありますね。

 

-現代の日本を振り返って、何か思うことはありますでしょうか。

 

廣瀬さん; 学生には、もっと積極性を持ってほしいですね。わたしは外務省退官後都内のある大学で教壇に立ったことがありますが、授業中の学生の発言・質問が少ない。そうかと思うと、授業が終わった後に質問に来たりします、なかには、どうして授業中に言ってくれなかったんだと思うような良い質問がいくつもある。米国の大学への留学者数でも、現在中国や韓国と比べて圧倒的な差をつけられてしまっている。この現状は、非常にもったいないなと感じてしまいます。グローバルな世界では、積極性が求められますからね。

 

 その点日ロ学生会議のメンバーはみなさん積極的で心強いです。日露間の政治関係がやや機微になった今こそ、国民レベルでの重層的な関係の促進が望まれます。特に長期的な観点からは、若い世代が相互理解をはかり、関係を強化することは重要です。頑張ってください。

 

 もう一つ、やはり日本の技術力特に品質管理、及びソフトパワーは世界に誇るべきものがあります。マンガやアニメだけでなく、日本人の緻密さや細かい気配りが活かされているものなどは、世界で高い評価を受けている。こういった部分を、もっと伸ばしていきたいですね。

 

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